旨味が無限ループする!「老めん法」バゲットレシピ。種を継いで家庭で極上の味を焼こう

老めん法(パート・フェルメンテ)で焼いたクープの開いたバゲット

「家でバゲットを焼いても、なんだか風味が薄い」「クープ(切り込み)が綺麗に開かない」「中身が詰まってしまって、お店のような気泡ができない」

そんな悩みをお持ちではありませんか?

家庭用オーブン、特に電気オーブンレンジで本格的なハードパンを焼くのは、確かに難易度が高い挑戦です。

しかし、「老めん法(パート・フェルメンテ法)」を取り入れるだけで、その悩みは劇的に解決します。

今回は、プロの現場でも使われているこの製法を家庭向けにアレンジし、さらに「一度作ればずっと美味しい生地が続く」魔法のようなルーティンをご紹介します。

老麺法(パート・フェルメンテ)とは?

老麺(ろうめん)とは、ミキシング後の生地をあらかじめ必要な分だけ取っておき、次回のパン作りに「種」として加える製法のことです。フランス語では「パート・フェルメンテ(発酵した生地)」と呼ばれます。

ドライイーストだけで短時間で発酵させたパンと違い、生地に熟成された「老めん」を加えることで、以下の効果が生まれます。

  • 複雑な旨味と香り:熟成による深い味わいが加わります。
  • 生地の伸展性アップ:生地が伸びやすくなり、ボリュームが出やすくなります。
  • 老化の遅延:翌日になってもパサつきにくくなります。

それでは、早速レシピと工程を見ていきましょう。


準備するもの・レシピ(バゲット2本分)

バゲット作りの材料一覧と種となる老めん生地

今回は、家庭用オーブンでも扱いやすい、加水率68%の配合です。

材料表

材料名分量ベーカーズ%備考
準強力粉300g100%リスドォル、TypeERなど推奨
6g2%ゲランドの塩などがおすすめ
ドライイースト1g0.3%微量でじっくり発酵させます
モルトパウダー0.3g0.1%焼き色と酵素活性のため
204g68%浄水、冬場はぬるま湯で
老麺生地90g30%※前回の生地、または前日仕込み

※初めて作る方へ(老めんがない場合)

初回だけは、準強力粉50g、水35g、塩1g、ドライイースト0.2gを混ぜて一晩冷蔵庫に置いたものを「老めん90g」の代わりとして使用しましょう。

道具

  • ボウル、カード(スケッパー)
  • キャンバス(綿製品で代用できる)
  • 取り板(小さいまな板)
  • クープナイフ(またはカミソリ)
  • 霧吹き
  • 家庭用オーブンレンジ(過熱水蒸気機能付き推奨)

作り方:美味しいバゲットの「無限ループ」工程

このレシピの最大のポイントは、「捏ね上がった生地から次回の種を取り分ける」ことにあります。

1. ミキシング(後塩法)

ボウルに準強力粉、モルトパウダー、水を入れて粉気がなくなるまでカードで混ぜ合わせます。

粉気がなくなったら「老めん生地(90g)」を加え、30分休ませて水和を進めます。(オートリーズ)
イーストを加えて捏ね、最後に塩を加えて生地を仕上げます。

バゲットは食パンのようにグルテン膜を薄く作る必要はありません。表面がなめらかになり、生地がつながればOKです。捏ね上げ温度は24℃

2. 【最重要】次回の種を取り分ける

次回用に90gの老めん生地を取り分けて保存容器に入れる

捏ね上がった生地から、90gを切り取ってください。

  • 切り取った90gの生地は、小さく丸めて保存容器に入れます。
  • 冷蔵保存:1~2日程度
  • 冷凍保存:約1ヶ月
  • これが、次回焼くバゲットの「旨味のもと」になります。このサイクルを繰り返すことで、あなたの家のバゲットはどんどん美味しく進化します。

3. 一次発酵・パンチ

残りの生地を綺麗に丸め、容器に入れて蓋をし、室温で発酵させます。(フロアタイム)

  • パンチ(ガス抜き):発酵開始から30分後、生地を四方から折りたたむようにしてガスを抜き、再び丸めます。これにより生地に力がつきます。
  • 発酵終了の目安:さらに60分〜90分ほど置き、生地が発酵前より約2倍の大きさになるまで待ちます。

4. 分割・ベンチタイム

生地を台に出し、2等分(約250g)にします。

ガスを生地全体に散らせて、俵型に丸めます。
ここで大事なのは気泡を潰さないこと優しく… でも表面に張りを持たせるように!

保存容器に入れて(濡れたふきん等)、20分ほど休ませます(ベンチタイム)
キャンバス地の準備をお忘れなく!

5. 成形

バゲットの成形手順・三つ折りにして棒状に伸ばす

バゲット成形の基本です。

  1. 生地を手で軽く叩いてガスを抜き、平らな長方形にします。
  2. 下から1/3を中心に向かって折ります。
  3. 上から1/3を中心に向かって同様に折ります。
  4. 次に中心で半分に折り、のりしろを2㎝残して折りたたみます。
  5. さらに閉じ目を手の付け根でしっかりと閉じながら折ります。
  6. 最後に両手で転がしながら、長さ28㎝~32cm程度(オーブンの天パンサイズに合わせる)に伸ばします。
  7. キャンバスシートにひだを作り、生地を並べて二次発酵へ。

成形をYouTubeで見る ➡ 

6. 二次発酵

25℃〜28℃で30分〜40分程度が目安。
ちなみに今回僕は24℃の室温で45分発酵を取っています。

バゲットの場合は、見た目が一回りふっくらとすればOKです。過発酵(膨らませすぎ)はクープが開かない原因になるので注意してください。

7. クープ入れ(化粧の粉)

焼成前のバゲット生地にクープナイフで切り込みを入れるコツ

オーブンを予熱している間に、天パンにオーブンシートを敷き、その上に生地を移動させます。

生地の表面に軽く粉(分量外)を振り、クープナイフで縦にスッと切れ込みを入れます。
最終発酵後の生地表面に触れてみて、べたついているようなら扇いで乾かしてください。

刃を少し寝かせ、皮を一枚削ぐようなイメージで行いましょう。

合わせて読みたい
バゲットのクープが必ず開く!家庭でできるプロの入れ方とスチームの科学

8. 焼成(家庭用オーブンの攻略法)

ハードパンを家庭用オーブンで美味しく焼くための温度設定です。

  • 予熱:天パンを一枚入れて最高温度(300℃)で予熱完了させます。

【焼成ステップ】

  1. 第一段階「過熱水蒸気モード」300℃で10分焼きます。
    ※スチームがクープを開かせ、ボリュームを出します。
  2. 第二段階(焼き込み):通常の「オーブンモード」230℃に下げて残り15分〜20分を完成まで焼きます。こんがりとしたきつね色になり、底を叩いてコンコンと軽い音がすれば完成です。

見本のYouTube動画 ➡


なぜ「老めん」なのか? メリットとデメリット

バゲット作りにこの手法を取り入れるべき理由を整理しました。結論として、家庭製パンこそこの手法が最適です。

項目メリット デメリット
味・風味発酵生成物による複雑な旨味と甘みが出る。イースト臭さが軽減。特になし。
食感外はパリッと、中はしっとり(クラムの水分保持力が上がる)。特になし。
作業性生地の伸展性が良くなり、成形しやすくなる。発酵が安定する。前回の生地を管理する手間がある。
持続性「種継ぎ」のように、作るたびに種が進化していく楽しみがある。定期的にパンを焼かないと種が無駄になる。
時間ストレート法より発酵時間を短縮しても味が落ちない。初回のみ、老めんを用意する必要がある。

結論:バゲット作りは「ループ」させよう

このレシピの肝は、「90gの生地を取り置き、ループさせること」です。

パン職人さんは「中種(なかだね)」や「ルヴァン」を継ぎ足して店の味を守りますが、家庭ではこの「老めんループ」が最も手軽で、かつベーカリーの味に近づける最短ルートです。

「また次も、この種を使えば美味しくなる!」

そう思えば、パン作りを継続するモチベーションにも繋がります。


FAQ:よくある質問

Q1. 老めんを保存し忘れて焼いてしまいました!どうすればいいですか?

A. 大丈夫です、安心してください。

次回焼く前日に「準強力粉50g、水35g、塩1g、インスタントドライイースト0.2g」を混ぜて軽く捏ね、冷蔵庫で一晩寝かせたものを「即席老めん」として使えば、ループを再開できます。

Q2. 準強力粉がない場合、強力粉でも代用できますか?

A. 可能ですが、食感が変わります。

強力粉100%だと、もちもち感が強く、皮が分厚くなりやすいです。使う強力粉のタンパク量にも関係しますが、準強力粉に近いほど、歯切れの良い食感になります。

Q3. 冷凍した老めんはどうやって使いますか?

A. 使用する前日に冷蔵庫に移して解凍してください。

急ぎの場合は常温で自然解凍しても構いませんが、生地の温度が上がりすぎないように注意しましょう。必ず柔らかくなってから本捏ねに混ぜてください。


まとめ

老めん法で作ったバゲットの断面と大きな気泡

今回は「老めん法」を使ったバゲットの作り方をご紹介しました。

ポイントをおさらいしましょう。

  1. 老めんを入れることで、プロのような深い味わいと伸展性を手に入れる。
  2. 捏ねた生地から90gを取り分け、次回の「種」として冷蔵・冷凍保存する。
  3. 高温スチームで窯伸びさせ、後半はしっかり焼き込む。

90gの種」をつなぐだけで、あなたのキッチンが小さなベーカリーに変わります。

最初は手間と感じるかもしれませんが、バゲット作りは科学であり、慣れです。ぜひこの「無限ループ」を楽しんで、あなただけの最高のバゲットを焼き上げてくださいね。

次の週末、まずは「種」作りから始めてみませんか?

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