こねないバゲット生地で作る「さつまいもと黒ごまフランス」低温長時間発酵

はじめに~こねないバゲット生地とは

パン作りは「こねる」作業が重要だと思われがちですが、実は「こねない」方法でも美味しいパンを作ることができます。
特に、副材料が入らないリーンな配合で用いられます。

今回は、こねないバゲット生地を使って作る「さつまいもと黒ごまフランス」のレシピをご紹介します。

このレシピでは、家庭用のオーブンレンジで作る方法に特化し、低温長時間発酵(オーバーナイト製法)を利用することで、時間をかけて生地に旨みと風味をじっくりと引き出します。

この製法は、スーパーで買える材料で手軽に作れるだけでなく、ミキサーなしでもベーカリーの味に近づけます。フランスパンにさつまいもの甘さと黒ごまの香ばしさが加わった、食べ応えのある一品に仕上げていきましょう!


この記事の著者

材料~4個分

分量表

材料名分量
準強力粉300g
6g
ドライイースト2g
モルトパウダー0.3g
210g
黒ごま24g
さつまいも200g
さつまいもの作り方はすぐ下

焼成温度と時間

手順モード温度時間備考
過熱水蒸気300℃10分
オーブン(スチ無)230℃20分途中で反転

さつまいもの甘煮作り方

材料

・さつまいも:200g
・塩:2g
・砂糖:30g
・水:20g

手順

①さつまいもは200gを1㎝のさいの目にカットし、10~20分水にさらしてアクを抜きます。(色がきれいに仕上がります)

②ざるでさつまいもの水気を切ったら耐熱容器に入れて、砂糖・塩・水を加えて混ぜ合わせたら
電子レンジで600W/4分加熱します。

③全体をかき混ぜて完成。(少し硬い仕上がりで十分)

④キッチンペーパーで水分を拭き取っておきましょう。

YouTubeで見る➡ ナレーションと字幕で分かりやすい!

ミキシングから焼成まで~作り方と順番

1. ミキシング~オートリーズ

上の分量表にある材料(さつまいも以外)を粉っぽさがなくなるまで混ぜます。混ぜ終わったらオートリーズを60分取ります。

オートリーズとは、粉と水を合わせてから、しばらく生地を休ませる工程のことです。この工程により、小麦粉に含まれるグルテンが自然に形成され、生地がこねなくてもまとまりやすくなります。

  • 準強力粉とモルトパウダー、水、イースト、塩、黒ごまをボウルに入れ、軽く混ぜ合わせます。粉気がなくなる程度でOKです。黒ごまも最初から加えてください。
  • ボウルにラップをかけ、60分ほど室温で休ませます。この時間で粉と水がしっかり馴染み、生地が自然にまとまります。

2. パンチを入れる(発酵途中でのガス抜き)

パンチとは、発酵の途中で生地のガスを軽く抜きながら、グルテンを強化するための作業です。今回のレシピではこねないため、このパンチの工程が非常に重要になります。

  • オートリーズを60分取った後、生地の端を伸ばしながら真ん中に向かって折りたたむようにして、伸びなくなったら平らな容器に移して冷蔵庫に移します。
  • 発酵が安定し、軽い食感と弾力のあるパンに仕上がります。

3. 低温長時間発酵(オーバーナイト発酵)

オーバーナイト製法とは、低温で長時間かけて発酵させる製法です。これにより、パンの風味が深まり、しっかりしたクラム(中身)が作られます。

  • 冷蔵庫で一晩(12~16時間)発酵させますが、理想の温度は5~6℃です。

    この間にゆっくりと発酵が進み、旨みと甘みが付加されて生地がしっかり膨らみます。

4. 具材を入れて20℃まで復温

翌日、冷蔵庫から生地を取り出し、冷たい状態で具材を入れます。

  • 生地を台に取り出し、優しく引っ張って長方形に広げます。水分を拭き取ったさつまいもを生地全体に散らせます。
  • 縦と横に三つ折りを2回繰り返して、生地を休ませます。
  • そのまま20℃まで復温。

5. 焼成(オーブンの設定)

この記事では「家庭用のオーブンレンジを使う」前提で進めます。

  • オーブンレンジを「加熱水蒸気300℃」で予熱しておきます。
  • 予熱完了のアラームが鳴ったらすぐに、霧吹きで湿気を出してから素早くパンを入れます。
  • 「加熱水蒸気300℃」ほぼすべての機種が10分以内に自動的に温度が下がりますが、そのまま10分焼き続けます。
  • 10分後、パン反転させてからモードを「オーブン230℃(スチームなし)」に切り替えて20分くらい焼きます。

    全体にこんがりとした焼き色がつけば、完成です。

     オーブンレンジの使い方動画 ➡(05:46~)

各工程のポイント

ミキシングのポイント

こねないレシピでは、最初のオートリーズで生地の水分と粉を十分に馴染ませることが重要です。これを「水和」と呼び、必要なのは時間です。

これにより、グルテンが自然に形成され、こねなくても生地がまとまりやすくなるのです。

発酵の見極め

一次発酵では、生地が1.5倍ほどに膨らんだ状態が目安です。冷蔵庫での低温長時間発酵(オーバーナイト発酵)は、生地に旨みと風味を与えるため、発酵をゆっくりさせることが大切です。

そのため冷蔵庫の温度がとても大切です。高すぎても低すぎてもいけません。
5~6℃が最適です。捏ね上げ温度は24℃が目安。

生地の温度

オーバーナイト発酵後の生地は冷たい状態で作業を再開しますが、発酵を均一に進めるため、暖かすぎない環境で復温させましょう。

丸めと成形

バゲット型やクッペ型に整える際、必要以上に叩いて気泡をつぶさないように注意してください。
ふんわりと巻き込むように成形することで、焼き上がりが軽い食感になります。

焼成温度~オーブンレンジ以外の場合

ガスオーブンを使っている方も基本的には同じです。
220~230℃の高温で焼き始め、焼き色をつけた後は200℃に下げてじっくり焼き上げます。


まとめ

こねないバゲット生地で作る「さつまいもと黒ごまフランス」は、低温長時間発酵を利用し、家庭用のオーブンレンジでも手軽に本格的なフランスパンを作ることができます。

オートリーズやパンチといった工程をしっかり行うことで、こねない生地でも風味豊かで美しいパンが焼き上がります。焼きたての香ばしいパンに、さつまいもの甘さと黒ごまの風味が加わり、素朴ながらも奥深い味わいを楽しめるでしょう。

ぜひ一度、時間をかけた贅沢なパン作りを楽しんでみてください!


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