失敗しない!一番簡単な天然酵母元種の作り方~健康的で美味しいパン

はじめに ~天然酵母パンの魅力~

天然酵母パンの魅力は、その独特の風味と健康志向にあります。
まず、天然酵母は、自然界に存在する酵母や乳酸菌を使って発酵させるため、市販のイーストで作ったパンとは異なる、深い風味や複雑な香りが特徴です。

特にライ麦や全粒粉など、素材の風味を最大限に感じられるのが魅力です。

また、天然酵母パンは健康面でも優れています。発酵過程で生じる乳酸菌が、腸内環境を整える効果があり、消化を助ける働きをします。

手間と時間がかかる天然酵母パン作りですが、その手間をかけた分だけ味や健康効果に優れたパンが出来上がるため、愛好者が多く、家庭でも人気が高まっています。

この記事では『天然酵母パン』のために不可欠な
元種の作り方を詳しく、そして家庭製パンに応用できる方法を写真を使って解説していきます。

この記事の著者

元種とは?

元種とは、酵母液を使って作られる発酵生地のことで、パンの膨らみを助け、熟成を促したり芳醇なフレーバーを付加する役割を持ちます。

一般的に、小麦粉と酵母液、または水を混ぜて発酵させたものを指します。

レーズン酵母元種を使ったフランス生地(上)

元種のメリット

元種を使うことで、次のようなメリットがあります。

  • 美味しさがアップ:発酵時間を長く取ることで、熟成による旨味と芳醇な風味が加わります。
  • 食の安全性が向上:しっとりとしたクラム(中身)に適度な弾力を持ち、老化が遅くなります。
  • 保存性の向上:弱酸性に近づくため、他の発酵食品と同じように日持ちしやすくなります。

元種を作るために必要な材料と道具


まず、元種を作るために必要な材料と道具を準備しましょう。

材料

  • 強力粉、又は準強力粉:50g
  • 天然酵母液(レーズン酵母など):50ml

道具

  • 容器(びん):800~1000ml位
  • ラップまたは蓋:雑菌やゴミを防ぐ
  • ゴムベラまたはスプーン:生地を混ぜるため
  • はかり:計量用

YouTubeで見る➡ ナレーションと字幕で分かりやすい!

元種の作り方の手順

1. 元種の仕込み

元種は3日かけて仕込み、4日目から使えます。以下の手順で行います。

  1. ボウルに材料を入れる:
  • ボウルに全粒粉、強力粉、準強力粉のいずれか…
    50gを入れます。
  • 次に、酵母液50mlを加えます。
    ——————————-
    使う小麦粉は作るパンによって選択します。

    ▶バゲット・カンパーニュのようなリーンな生地 
    → 準強力粉

    ▶食パン・ブリオッシュなどの副材料が入るリッチな生地
    → 強力粉 

    ▶全粒粉を使う方法もあります。発酵力が3つの中で最も強く、一番生地に使う場合が多い。

※灰分が多い粉ほど発酵力が強い!

-パン教室-

【仕込みに使う容器選びが大事な理由】
1回、2回と継ぎ足しを重ねて最終的には8倍以上に膨らみます。

最終的に赤い線を越えてきます。

仕込み日目(1番だね)

容器に酵母液と小麦粉を1:1で入れ、ゴムベラやスプーンを使って材料をしっかりと混ぜ合わせます。

容器にフタをして、2倍の高さになるまで発酵させます。
理想の発酵温度は25〜35℃。この時、増えた量が分かるように目印を忘れずに!(輪ゴム・テープなど)

一番種は2倍の高さにならないことが多いので、室温によって時間で管理します。

【例】
室温26℃
なら3時間
室温20℃
なら4時間

この時のキッチン温度は約27℃だったので、3時間発酵を取っています。

とにかく温度が大切!発酵のスピードは温度に左右される。
毎回確認すること

発酵させる前に目印を付けて、高さを記録します。

下の写真は発酵開始から3時間後の状態。

赤丸の部分に発酵が見られますが、目標の2倍の高さには達していない…
ちなみに上から見ると、表面に細かい気泡が確認できます。

過発酵を防ぐために、ここで冷蔵庫に移します。

➡ 1日目終了

仕込み日目(2番だね)

こちらは、最初の仕込みから24時間後の状態。

目印より少し高さが出て、僅かながら冷蔵庫で発酵が進んでいます。

➡ 2日目の工程へ進みます。



2日目も一日目と同じ量、同じ手順で仕込みます。

目印は毎回更新しましょう!
キッチンの温度は28℃…3時間で2倍になりました。

3時間で約2倍に!

1日目と比べて気泡は大きく、数も増えています。


➡ 冷蔵庫へ入れて2日目が終了。

仕込み日目(3番だね)

~3日目も同じ量、同じ手順で仕込みます~

ここまでで、最初の仕込みから48時間が経過しています。
冷蔵庫内で発酵がさらに進んでいます。

量が増えて混ざりにくくなってきます…しっかり混ぜてください。

今回は僕が作ったのは7月ということもあり、室温が27~28℃で酵母にとって適した時期でしたが、同じ量を作る場合でも季節によって発酵する時間や完成までの期間は異なります。
その点はご承知くださいませ。

-パン教室-

【発酵時間を安定させるために…】

僕は持っていませんが、酵母の起こし用にヨーグルトメーカーを使っている方がいるようです。

実勢価格は¥4,000~¥8,000位、興味のある方は調べてみて…


しつこいようですが、目印と室温の確認を!
3時間で2倍になりました!

2回目、3回目と継ぎ足しを重ねるたびに発酵力は強くなるので、
2時間で2倍になることもあります。

最終日の見極めは時間ではなく、2倍の量(高さ)で判断してください。



冷蔵庫へ入れて3日目が終了
次の日から『天然酵母元種』として使えます。

完成した元種の状態は?~最初の仕込みから72時間が経過

3日目から4日目にかけて冷蔵庫内でさらに発酵が進み、
2倍以上
の高さになりました。



これで十分な発酵力がある元種の完成です!

元種の硬さは使った小麦粉によって異なります。

2. 元種の保存方法とメンテナンス

保存する際のポイントを押さえておきましょう。

元種は冷蔵庫で保存します。一番冷える場所で!

保存期間は約1週間が目安ですが、日が経つにしたがって発酵力は弱くなるので、ドライイーストを補助で少量加える方法もあります。
添加量は0.1~0.2%が目安。

元種の継ぎ足し方法

元種は継ぎ足しながら使用することで、繰り返し使うことができます。

パンを頻繁に焼く方は、使った分の元種を『粉と酵母液を1:1』の割合で、
もし途中で酵母液が無くなってしまったら、代わりに浄水を継ぎ足して3日目の工程を繰り返します。

この段階で、2倍になったらそのまま使えますし、思ったよりも発酵力が戻らない場合は、
砂糖をひとつまみ入れたり、

灰分の多い小麦粉を使って酵母のエサを増やしてから3日目の工程をもう一回繰り返してみましょう。

元種のメンテナンス

長い間、使わずに放置している元種は発酵力が弱く、そのまま使っても美味しいパンにはなりません。
もうダメかな?と思っても酵母は休眠中なだけで生きていることがほとんどです。

ちょっと待った! 捨てる前に試して…

まず、カビが生えていないか?悪臭が出ていないか?確めた上で、これに該当するものは諦めて、元種が正常な(酵母が生きている)場合は、2日目・3日目の工程を繰り返すことで強い発酵力を取り戻します。

まとめ

元種は、自家製パンに熟成の旨味と芳醇な香りが加えるだけでなく劣化を遅らせ、ドライイーストだけで作るパンとは比べ物にならないほど、美味しさを長持ちさせます。

時間はかかりますが作り方が比較的簡単であり、一度作れば継ぎ足しながら繰り返し使うことができます。

この記事を参考に、ぜひ元種作りに挑戦してみてください。パンの楽しみ方が皆さんに広がることを期待しています!


レッスン風景

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