僕のYouTubeチャンネルに寄せられるコメント上位に~
◆「モルトパウダーの場合は何グラム加えますか?」
◆「砂糖で代用できますか?」
◆「入れないと作れないですか?」
など…
この『モルト』に関する質問が、とても多いのです。
そこで今回は、フランスパンに挑戦したい方必見! パン作り初心者さんに向けて皆さんの疑問にお答えしながら分かりやすく、解説していきます。
モルトシロップ(パウダー)ってなに?
フランスパン、ハード系、砂糖が入らない生地によく使用される製パン材料で、麦芽(発芽させた大麦)を水で煮出して得られる抽出液を濃縮した製品。
「モルトエキス」や「ユーロモルト」とも呼ばれます。
見た目は色が濃いハチミツのように粘りが強い性質で、独特の香りと苦みが特徴です。
パンの原材料として売られていますが、実は自家製のビール作りにも使えるようです。
モルトパウダーとモルトシロップの違いは?
モルトパウダーはモルトシロップとは製法が異なり、乾燥させた麦芽を砕いてから精製したもので、薄い茶色の粉末状をしています。
パン作りにおいて、この2つは同じ目的で使われていますが、添加する量は異なります。
添加する量については、この後「モルトシロップの使い方」で詳しく説明しています。
なぜ、加えるの? -砂糖で代用できる?-
目的①:発酵を助けるため。
モルトシロップに含まれる「アミラーゼ」という酵素が、小麦粉のでんぷんを分解することにより、麦芽糖が作られます。
この麦芽糖が酵母の栄養となって、生地の発酵を促進、安定させます。
「モルトシロップを使わないとパンは作れないの?」
結論=作れます。
もともと、小麦粉自体にもアミラーゼは含まれているので、
パンは作れるのですが、その量はわずかなもので…
どうしても発酵に時間がかかってしまいます。これがパン屋さんの場合だと、生産効率や商品クオリティーに差が出てしまうので、それを補うためにモルトシロップが添加される訳なのです。
ちなみに、フランスパンのような砂糖を配合しないリーンなパンに使用されることが多い準強力粉には、
製品に添加しているものが多くありますが、だからといってモルトが不要になるわけではありません。
食品表示の例【原材料】小麦粉、粉末麦芽、粉末モルト抽出物
目的②:生地の伸びを良くするため。
アミラーゼによって、でんぷんが分解された時にデキストリンができます。
これは、生地の伸展性や柔軟性をよくする効果があります。
ただし、入れすぎると生地がだれて、まとまりにくくなるので注意が必要です。
最終発酵で膨らんだ生地は、オーブンに入れてからさらに膨らみます。
これを『窯伸び』と言いますが、モルトシロップは窯伸びも助けます。
目的③:色つやを良くして風味を出すため。
フランスパンのようなシンプルなパンほど、きれいな焼き色と、香ばしい風味が求められます。
この焼き上がりを左右するのに関わるのが、先ほども出てきた麦芽糖。
生地の中に最終発酵後まで残った麦芽糖は、焼成でパンに濃い焼き色を付け、小麦粉本来の風味を引き出します。
製パンにおける砂糖の役割
◆砂糖(ショ糖)
・生地に甘みを与えて、発酵を促す。
・糖分が多いほど、やわらかい状態が長く続き、劣化が遅い。
◆モルトシロップ(麦芽糖)
・生地に甘みは出ず、発酵を促す。
・進展性を高め、濃い焼き色を付ける(メイラード反応といいます)
上記で例えれば、砂糖は発酵の手助けにはなるものの、最初に酵母(イースト)の栄養になってしまい、
モルトシロップのように焼成段階までは残らないため、焼き色を付ける役割は果たせないのです。
したがって、モルトシロップは砂糖では代用できません。
同じ糖でも違う仲間…なんですね。
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モルトシロップ(パウダー)の使い方
【添加量の目安】
モルトシロップ:
小麦粉に対して0.5%が一般的です。
吸水の一部に溶かして使います。
常温で売っている場合もありますが、開封後は冷蔵庫で保存します。
モルトパウダー:
小麦粉に対して0.05~0.3%、小麦粉に直接混ぜて使います。
製品によって使用量が異なるので、表示に従って添加してください(もし表示がない場合は0.1%)
常温で保存します。
家庭製パンではどちらを使うにしても、計量は0.1g単位の「はかり」が必要になります。
おわりに
いかがでしたか?
皆さんの疑問が少しでも解けたら幸いです。
恥ずかしながら、僕も知識に乏しい頃は、砂糖やはちみつで代用できると思っていました…
現物を使ってみて初めて、別物なんだと気づいたくらいなんです。
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