イースト選びで迷わない!ルサッフル社のイーストの使い分けと選び方

パン作りを始めたばかりの方から、よくいただく質問があります。「インスタントドライイーストとセミドライイーストって何が違うの?」「ルサッフルのイーストは種類が多すぎて、どれを選べばいいかわからない!」など…

イーストはパン作りの心臓部であり、その違いを知ることは、美味しいパンへの近道です。
この記事では、世界中のパン職人から信頼されるルサッフル(le saffre)社の主要なイーストについて、その特性と家庭での最適な使い方を徹底的に解説します。

アマチュアベーカーの皆さんが、レシピや作りたいパンに合わせてイースト選びで失敗しないための、実践的な知識と選び方の指針を解説します。

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🥖 なぜルサッフル社のイーストが選ばれるのか?

Point(結論):世界基準の品質と安定性

ルサッフル社は170年以上の歴史を持つ、イースト・発酵分野の世界的リーダーです。その製品は、プロのパン職人から家庭のパン愛好家まで、世界中で愛用されています。

Reason(理由):安定した発酵力と均一な品質

イーストは生き物であるため、製品ごとの品質のバラつきはパン作りの成功を左右します。ルサッフル社のイーストは、厳しい品質管理のもとで製造されており、安定した発酵力製品の均一性が非常に高いのが特徴です。これにより、毎回再現性の高いパン作りが可能になります。

Example(具体例):サフ・インスタントドライイーストの浸透

近年、家庭製パンが広がる中でルサッフル社の「サフ・インスタントドライイースト」は、その手軽さと安定した発酵力から、赤サフ・金サフの愛称で呼ばれ、今や家庭製パンの標準とも言える地位を確立しました。これは、同社の製品が信頼されている何よりの証拠です。

成功への再現性を高める信頼のブランド

つまり、ルサッフル社のイーストを選ぶことは、成功への再現性を高め、発酵の失敗リスクを最小限に抑えるための、最も確実な選択肢の一つと言えます。


✨ ルサッフル社の主要イーストの種類と特性

ルサッフル社のイーストは、大きく分けて「インスタントドライイースト」と「セミドライイースト」の2種類、さらに用途に応じて細分化されています。

1. インスタントドライイースト(乾燥酵母)

ルサッフル社製のインスタントドライイーストのパッケージ(赤)

手軽で汎用性が高い、家庭製パンの「定番」

最も一般的なタイプで、計量後すぐに粉に混ぜて使える手軽さが特徴です。

優れた乾燥耐性と発酵力

製造過程で特殊な乾燥処理が施されており、常温で長期間保存が可能です。水に溶かす手間がなく、少量でも強い発酵力を発揮するため、日本のパンレシピの多くで標準として採用されています。

具体例:2つの代表的な製品とその使い分け

製品名主な特徴家庭での使い方
サフ・インスタントドライイースト(赤)糖分の少ない生地(リーンな生地)に強い。食パン、フランスパンなど。ハード系パン全般とバター・砂糖が少ない配合に使えます。迷ったらまずはこちらを。
サフ・インスタントドライイースト(金)糖分の多い生地(リッチな生地)に強い。ブリオッシュ、菓子パンなど。砂糖が粉に対して12%以上入るような、リッチな配合のパンに最適です。

専門用語解説:リーンな生地 / リッチな生地

  • リーンな生地(Lean Dough): 砂糖やバターなどの油脂分が少ないシンプルな配合の生地。フランスパンやチャバタなど。
  • リッチな生地(Rich Dough): 砂糖やバター、卵などが多く含まれる配合の生地。菓子パンやブリオッシュなど。糖分が多いとイーストの働きが妨げられやすくなるため、「金」が適しています。

レシピの糖分量に合わせて「赤」と「金」を使い分けるのが基本です。


2. セミドライイースト(半乾燥酵母)

ルサッフル社製のドライイーストのパッケージ(赤・金)

生イーストに近い風味と安定した発酵力を両立。リーンな生地からリッチな生地まで対応。

インスタントドライイーストと生イーストの間に位置する、新しいタイプのイーストです。豊かな風味を追求しつつ、冷凍保存による管理のしやすさも兼ね備えています。

高い水分含有量と冷凍保存、ビタミンCの有無

水分含有量が高く(約20〜30%)、生イーストに近い豊かな風味を持ちます。また、冷凍保存が可能です。インスタントドライイーストの多くに添加されているビタミンC(アスコルビン酸)が、このセミドライイーストには添加されていません

専門用語解説:ビタミンC(アスコルビン酸)の役割

製パンにおけるビタミンC(アスコルビン酸)は、酸化剤として働き、小麦粉のタンパク質(グルテン)の結合を強め、生地に弾力と安定性を与える効果があります。

これにより、機械耐性が高まり、パンのボリュームが出やすくなります。セミドライイーストのように無添加の場合、生地が柔らかくなりすぎたり、ガス保持力が弱くなる傾向があるため、特に捏ねない製法では生地の扱いに慣れが必要です。

Example(具体例):2つのセミドライイーストとその特性

製品名主な特徴糖分耐性使い方と注意点
セミドライイースト・赤生イーストに近い風味、冷凍保存が可能。ビタミンC無添加リーンな生地用(糖分少なめ)カンパーニュ、バゲットなど、リーンな配合のパン作りに。ビタミンC無添加のため生地がまとまりにくく、しっかりしたミキシングとパンチが必要。
セミドライイースト・ゴールド生イーストに近い風味、冷凍保存が可能。ビタミンC無添加リッチな生地用(糖分多め)バターロール、デニッシュ、食パンなど、風味を重視したいリッチなパン作りに。
こちらもビタミンCは無添加。

結論:風味と手軽さの両方を追求したい、上級者やこだわり派におすすめのイーストです。


レーズンシナモンロール

💡 家庭でのイースト選びと使い方ガイド

Point(結論):まずは「赤」から始め、リッチなパンには「金」に移行する

イースト選びで迷ったら、まずは基本に立ち返りましょう。

Reason(理由):失敗を防ぐためのステップアップ

家庭製パンの初期段階では、最も汎用性が高く、多くのレシピに対応できる**サフ・インスタントドライイースト(赤)**から使用を始めるのが最も合理的です。これで成功体験を積み、様々なパンに挑戦する段階で、菓子パンやリッチなパンには「金」を、さらに風味を追求したい場合は「セミドライイースト」を試すというステップアップが失敗を防ぎます。

Example(具体例):失敗しないための具体的な使用量と使い方

ドライイースト(粉末)

1. 使用量の目安

イーストの種類対粉量(粉の重量に対する割合)の目安
インスタントドライイースト1.0% 〜 1.5%
セミドライイースト1.0% 〜 1.5%

注意点: 使用量はレシピによります。オーバーナイト製法を用いてイースト量を抑えたレシピでもしっかり発酵するため、入れすぎると生地が熟成する前に発酵がピークを迎えたり、イースト臭が強くなる原因になります。必ずレシピの指示に従ってください。

2. 混ぜ方・使い方

  • インスタントドライイースト(赤・金): 粉類(小麦粉、砂糖、塩)と直接混ぜます。塩はイーストの働きを阻害するため、イーストと塩は離れた場所に置くようにしましょう。予備発酵(ぬるま湯で溶かすこと)は不要です。
  • セミドライイースト: 冷たいまま、粉類と直接混ぜます。水分に触れるとすぐに働き始めるため、練り始めの温度管理が重要です。

3. 保存方法

  • インスタントドライイースト: 未開封であれば常温で長期保存が可能ですが、開封後は密閉容器に移し替え、必ず冷蔵庫で保存してください。空気中の湿気に触れると急速に劣化し、発酵力が落ちます。
  • セミドライイースト: 開封・未開封にかかわらず、冷凍庫で保存します。使う際は冷凍庫から出してすぐに計量し、冷たいまま使用します。

正しいイーストを選び、正しい保存と使い方をすることで、発酵の安定性は格段に向上します。


❓ FAQ(よくある質問)

Q. インスタントドライイーストの「赤」と「金」を間違えて使っても大丈夫ですか?

A. 結論から言うと大丈夫ですが、パンの仕上がりに影響が出ます。

  • 「赤」をリッチな生地に使うと: 糖分の影響で発酵が鈍って遅くなり、生地が重くなったり、十分に膨らまない可能性があります。
  • 「金」をリーンな生地に使うと: 発酵が強すぎる、またはイーストが多すぎると感じられ、イースト臭が強く残ってしまう可能性があります。リッチなパンには必ず「金」を、それ以外は「赤」を使うのが失敗しないコツです。

Q. イーストが古くなったかどうかの見分け方は?

A. 一番確実なのは「予備発酵テスト」です。

ぬるま湯(35〜40℃)に少量の砂糖とイーストを入れ、5〜10分放置します。

  • 新鮮なイースト: 表面が泡立ち、ふっくらとしたクリーム状になります。
  • 劣化したイースト: ほとんど泡立たず、水に沈んだままの状態になります。あきらめて、新しいものに交換しましょう。

Q. セミドライイーストを使うメリットは、インスタントドライイーストと比べて具体的に何ですか?

A. 最大のメリットは「豊かな風味」と「高い冷凍耐性」です。

セミドライイーストは、生イーストに近い製法で作られているため、インスタントドライイーストよりも発酵によって生まれる芳香成分(エステルなど)が多く、より深みのある、複雑なパンの風味を引き出すことができます。
また、冷凍庫で長期間(通常は数ヶ月)安定して保存できるため、生イーストよりも管理がしやすい点も大きな利点です。
一次発酵させた生地を冷凍➡解凍して作業時間を短縮できることも可能になります。

セミドライイーストにはビタミンCが無添加、具体的にどんなデメリットがありますか?

A. 生地の作業性とボリュームに影響が出ます。 ビタミンCが無添加だと、生地のグルテンの結びつきが強化されにくいため、以下のようなデメリットを感じる場合があります。

  1. 生地のまとまりの悪さ: 生地がベタつきやすく、特に捏ねない製法では扱いにくいと感じることがあります。
  2. ボリュームの低下: ガスを保持するグルテンの膜が弱くなるため、焼き上がりのパンのボリュームが、インスタントドライイースト(ビタミンC添加あり)を使った場合よりも若干小さくなる傾向があります。
  3. 生地のダレ(柔らかすぎ): 特に長時間発酵や、生地温度が高くなった場合に、生地が横に広がりやすく、形を保ちにくい(ダレやすい)ことがあります。

しかし、これらのデメリットはしっかりしたミキシングとパンチによって解決することができます

パンチを動画で見る ➡


📋 まとめ:イーストの選び方の決定版

今回は、ルサッフル社の主要なイーストの種類と、家庭での選び方・使い方を詳細にご紹介しました。

パンの種類イーストの選択肢
バゲットやカンパーニュなどリーンなパンサフ・インスタントドライイースト(赤) または セミドライイースト・赤(風味重視)
菓子パンやブリオッシュなどリッチなパンサフ・インスタントドライイースト(金) または セミドライイースト・ゴールド(風味重視)
風味を最重視したいリーンなパンセミドライイースト・赤ただしビタミンC無添加による作業性の違いに注意

イースト選びは、パン作りの成功を左右する最初の重要なステップです。ルサッフル社のイーストは、その安定した品質で、皆様のパン作りを強力にサポートしてくれます。

このガイドを参考に、レシピの糖分量に合わせて「赤」か「金」かを正しく使い分け、さらに上を目指す方は「セミドライイースト」にも挑戦してみてください。イーストの力を理解し、適切に使うことで、皆様のパン作りは必ず次のレベルへと引き上げられます。

美味しいパンが焼き上がることを心より願っています。これからもパン作りを楽しんでいきましょう!

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