パン作りの基本|仕込み水の温度計算と種類別捏ね上げ温度一覧【家庭製パン向け】

はじめに

家庭でパンを焼くとき、「思ったより発酵が進まない」「生地がだれてしまう」「レシピ通りに作ったのに…」と悩んだことはありませんか?

よくあるレシピ動画で【水はぬるま湯(30~40℃)を使う】この理由も知らずに、鵜呑みにしてはいけません!

特に生地量が少ない家庭製パンでは室温の影響を受けやすく捏ね上げ温度(こねあげおんど)仕込み水の温度 は、パン作りの成否を左右する大切なポイントです。

この記事では、パンの種類別に目安となる「捏ね上げ温度」と、その温度に合わせるための「仕込み水の温度」の計算方法を詳しく解説します。

パン作りを安定させるには必須、ぜひマスターしてください!

この記事の著者


捏ね上げ温度とは?

捏ね上げ温度とは、ミキシングが終わった直後の生地の温度のことで、美味しいパンを作るために重要な要素です。
「一度も測ったことがない…」なんて言うのは論外!
特に一次発酵は生地温度により時間差が生じて、適温でなければ発酵が遅れたり、逆に過発酵になったりします。

  • 高すぎると → 発酵が早く進みすぎ、生地がだれる
  • 低すぎると → 発酵が遅く、膨らみが悪い

そのため、パンの種類に合わせて「最適な捏ね上げ温度」を設定し、それに合わせて仕込み水の温度を調整する必要があるのです。


仕込み水の温度を求める計算式

一般的に使われる計算式は次のとおりです:

仕込み水の温度 = {3× (こね上げ温度 ー 摩擦係数) } ー (粉温 + 室温)

計算方法は他にもありますが、この式が分かりやすくて大きい誤差は生じないので、僕のパン教室でも採用しています。

各要素の意味

  • 目標生地温度 … パンの種類ごとに設定する温度(下表参照)
  • 粉温度 … 小麦粉自体の温度(室温の影響を受けやすい)
  • 室温 … 作業環境の気温
  • 摩擦係数… ミキサーや体温が生地に加わる熱のこと
    →ミキシングにかかる時間と強度によって変化するが、時間が長いほど上昇しやすい

    手ごね 5~10℃が目安(ベーグルや食パンなど、レシピにより差が出る)

    ミキサー(ニーダ/キッチンエイド): 5~10℃が目安

    ホームベーカリー メーカーにより異なる(要・実測)

ポイント
僕のパン教室手ごねの場合:同レシピで同時スタートでも、捏ね上げ温度はプラスマイナス3℃くらいの個人差が出ますね。

7~9月レッスンの菓子パンレシピで「目標26℃」に対して、ピッタリの方もいれば29℃の方もいて…
手ごねがゆっくりな人ほど、温度が高い傾向。

🔷僕のパン教室で7~9月に限って言えば、実際の摩擦係数最低10℃で計算しています。
とはいえ、冬のベーグルは摩擦係数5℃設定で十分ですし…
1年を通して、春夏秋冬で作るパンによって毎回変わるからやっかいです。

計算例

  • 目標生地温度(捏ね上げ温度):26℃
  • 粉温度:22℃
  • 室温:24℃
  • 摩擦熱:6℃
仕込み水の温度 ={3×(26-6)}-(22+24)=14

この場合、14℃の水を使えば、目標の捏ね上げ温度に近づきます。

YouTubeで実践 ➡


パンの種類別「捏ね上げ温度」目安

パンの種類によって最適な温度は異なります。代表的な目安をまとめました。

パンの種類捏ね上げ温度ポイント
フランスパンなどのハード系24~25℃長時間発酵や冷蔵発酵向き。低めで風味が良くなる
食パン(角食・山型)26~27℃標準的な温度。ボリュームと弾力を出す
菓子パン(ブリオッシュ等)27~28℃砂糖・油脂が多く発酵しにくいため高めに
デニッシュ・クロワッサン22~24℃バターが溶けないよう低めを維持
全粒粉・ライ麦パン25~26℃酵素活性が強いためやや高めに設定

季節ごとの温度調整

パン作りは四季の影響を大きく受けます。特に生地量が少ない家庭製パンでは室温の影響を受けやすいので、以下のような工夫をすると安定しやすくなります。

夏場

  • 粉や室温が高くなる → 氷水を使って仕込み水や小麦粉を冷やしておく
    水はどんなに冷やしても3℃が下限です。小麦粉も冷やしておく必要があります。
  • 生地温度が上がりやすい → エアコンも効かせて!食パンを手ごねの場合は、速やかに(要注意

冬場

  • 粉や室温が低い → ぬるま湯(30~40℃)を使う
  • 発酵が遅い → 室温を上げる工夫も必要。発酵器や電子レンジの発酵機能を使う

よくある失敗と解決法

  • 生地がベタつく → 捏ね上げ温度が高すぎる可能性。仕込み水を冷やす
  • 膨らみが悪い → 生地温度が低すぎる。仕込み水を温める
  • 発酵時間が毎回変わる → 粉や室温を記録して調整する

パン作りが安定しないと感じるときは、まず温度の記録と調整を見直してみましょう。


まとめ

ここまで、どうでしょう?
季節を問わずに【ぬるま湯(30~40℃)を使う】これが失敗の原因の1つになることが理解できたのではないでしょうか?

  • 捏ね上げ温度はパン作りの成否を左右する重要なポイント
  • 仕込み水の温度 = {3× (こね上げ温度 ー 摩擦係数) } ー (粉温 + 室温)
    で求める
  • パンの種類ごとに最適な温度がある(表を参考)
  • 季節によって仕込み水の温度を調整することが大切

家庭でのパン作りをワンランクアップさせたい方は、ぜひ「温度管理」を意識してみてください。きっと焼き上がりが安定し、理想に近いパンが楽しめるはずです。


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