今回は「強力粉」と「準強力粉」を使って、同じレシピ・同じ工程でバゲットを焼き比べました。
本記事では家庭でも作りやすい 捏ねないオーバーナイト製法 を用いて、各工程を丁寧に解説しながら粉による違いを検証していきます。
最後には「強力粉と準強力粉、どちらがあなたに合うか」がわかるはずです。
材料と配合
今回は粉だけを変えて比較しました。それ以外の材料は同じです。
準強力粉のバゲット
- 準強力粉(リスドォル):300g
- 塩:6g
- ドライイースト:1.5g
- モルトパウダー:0.3g
- 水:210g
強力粉のバゲット
- 強力粉(カメリヤ):300g
- 塩:6g
- ドライイースト:1.5g
- モルトパウダー:0.3g
- 水:210g
👉 どちらも吸水率は70%です。今回は「捏ねない製法」なのでミキシングは問題ないと思います。
製法の流れ(オーバーナイト製法)
今回のバゲット作りの流れを簡単にまとめます。
- ミキシング(材料を混ぜ合わせる)
- パンチ入れ(折りたたみでグルテンを強化)
- 低温長時間発酵(冷蔵庫で一晩休ませる)
- パンチ(ラミネーション=生地を広げて折り畳む)
- 生地の復温(室温に戻す)
- 丸め(軽く整える)
- ベンチタイム(休ませて弾力を調整)
- 成形(バゲットの形に)
- クープ(切れ目を入れる)
- 焼成(過熱水蒸気300℃/10分+オーブン230℃/20分)
それでは各工程を詳しく見ていきましょう。
各工程の解説

ミキシング
ボウルに粉・モルトパウダーを入れ、軽く混ぜます。次に塩とドライイーストを別々に水で溶かし、粉に加えてゴムベラでざっと混ぜ合わせます。
ここでは「捏ねる」必要はなく、粉気がなくなればOKです。
- 強力粉は生地がまとまりにくく、やや粘りを感じます。
- 準強力粉は水になじみやすく、最初から滑らかな印象です。
パンチ入れ
60分休ませた後、生地を軽く持ち上げて折りたたみます。これを数回繰り返すことでグルテンが強化されます。
- 強力粉:弾力が強く、伸ばすとバネのように戻る感覚。
- 準強力粉:柔らかく、素直に伸びるので扱いやすい。
低温長時間発酵
冷蔵庫(約5℃)で一晩、12〜16時間ほど発酵させます。
低温で時間をかけることで、イーストの活動が穏やかになり、小麦の風味が深まります。
👉 翌日取り出すと、生地の膨らみ方に差が出ます。
- 強力粉:高さがあり、縦方向に伸びている。
- 準強力粉:横に広がり、全体的にふっくら。

パンチ(ラミネーション)
冷蔵庫から取り出した生地をつめたいまま台に移し、四角く広げて折りたたみます。これを「ラミネーション」と呼びます。
生地に層を作ることで、気泡の入り方が均一になります。
生地の復温
パンチ(ラミネーション)発酵を終えた生地を20℃まで復温させます。冷たいまま次の工程に移っても最終発酵時で時間がかかってしまうので、この工程は省けません。
丸め(三つ折り)
成形を考慮して三つ折り。ここでは力を入れすぎず、生地のガスを完全に抜かないのがポイントです。
- 強力粉:弾力があり、ガスをしっかり蓄えているのが確認できます。
- 準強力粉:柔らかいので力を入れなくても丸められる。
ベンチタイム
丸めた生地を乾かないようにして最低でも20分休ませます。これを「ベンチタイム」と呼びます。
休ませることで生地の緊張がゆるみ、成形がしやすくなります。
成形
・準強力粉は伸びがいい反面、長く細くなりがちで、家庭のオーブンではバゲットの長さが30㎝を大きく超えるとオーブンに入らないので注意が必要です。
・強力粉は適度な固さがあり、初めて挑戦する方には扱いやすいと思います。
👉 成形に関しては、準強力粉の方が難易度が高いです。
最終発酵(ホイロ)
成形した生地はキャンバスに並べ、布をかけて休ませます。
この工程を「ホイロ(最終発酵)」と呼びます。
- 発酵時間の目安:室温(25℃前後を想定)で40〜60分
- チェック方法:「指でそっと押して、跡がゆっくり戻る」状態が最適
👉 発酵不足だとクラムが詰まってしまい、過発酵だとガスが抜けてクープが開きにくくなります。

クープ入れのポイント
最終発酵が終わったら、オーブンをしっかり予熱し(過熱水蒸気300℃)、生地にクープ(切れ込み)を入れます。
- 刃は生地に対して斜め30〜45度
- ナイフはためらわず、一気にスッと切る
- クープの本数はバゲットの長さに応じて 3〜4本(動画では1本)
👉 クープは「生地のガス抜き口」煙突の役割を果たします。
これがあることで、焼成中に美しい開きが生まれます。
粉の違いによる差
- 強力粉:表面の張りが強い→ 深めに、思い切って入れる
- 準強力粉:生地が柔らかく開きやすい → 浅めでも十分に開く(羽のような開き)が出やすい。
📌 まとめると、
「最終発酵での発酵見極め」と「クープの深さ・角度」が、バゲットらしい仕上がりを決める大きな要因になります。
焼成(家庭用オーブンレンジ使用)
① 過熱水蒸気モード:300℃で10分
水蒸気でクラスト(外皮)がしっかり膨らみ、パリッと仕上がります。
② オーブンモード:230℃で15~20分(途中で反転)
じっくり火を入れることで、中まで均一に焼き上がります。
焼き上がりの比較
粉の種類 | クラスト | クラム(内相) | 食感 | 風味 |
---|---|---|---|---|
強力粉 | 厚めでしっかり | 気泡が小さめ | もちもちで噛みごたえあり | 素朴で安定 |
準強力粉 | 薄めで軽い | 大きな気泡が入る | 軽やかで歯切れよし | 香ばしく小麦の風味が強い |
👉 見た目から食感まで、想像以上に違いが出ました。
まとめ:強力粉 vs 準強力粉
- 強力粉のバゲットは、もちもち・しっかり食感。日本人が好む食パン的な要素があり、噛みごたえを楽しみたい方におすすめです。
- 準強力粉のバゲットは、軽やかで香ばしく、本格的なフランスパンに近い仕上がり。カリッとしたクラストと大きな気泡のクラムが魅力です。
結論として、同じ製法・同じ家庭用オーブンでも、粉の種類によってバゲットの表情は大きく変わります。
ぜひご家庭でも「強力粉 vs 準強力粉」を試して、自分好みのバゲットを見つけてみてください。
📌 今回紹介した「捏ねないオーバーナイト製法」は、家庭用オーブンでも再現性が高く、小麦の風味を最大限引き出せる方法です。
👉 あなたのキッチンでも「お店のようなバゲット」に挑戦してみませんか?

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