プチフランスの作り方~初めてでも失敗しない|簡単な捏ねないレシピ

このパンの製法=ストレート法とは?

パンの製法にはいくつかの種類があり、それぞれにメリット・デメリットがあります。

主な製法として「ストレート法」「中種法」「湯種法」「ポーリッシュ法」「オートリーズ法」などがありますが、このプチフランスはストレート法で作ります。

この製法は、他の製パン法に比べて工程がシンプルで短時間で作ることができるため、特に初心者に向いている方法と言えます。

手順が少なく、ミキシングの後すぐに一次発酵に入り、その後の成形、最終発酵を経て焼成に移行。

全行程が一度に進むため、効率よくパンを焼ける点が魅力ですが、一方で発酵時間が短いために長時間発酵させる製法に比べると、風味や香りが控えめになりがちです。

今回は家庭用のオーブンレンジを使って、この製法のメリットを最大限に活かした、3時間半で作る!「プチフランスパン」の作り方をご紹介します。


この記事の著者

【プチフランス材料】6個分

分量

  • 準強力粉:300g
  • 塩:6g
  • ドライイースト:2g
  • モルトシロップ:1g
  • 水:204g

    焼成
    ①過熱水蒸気
    最高温度設定300℃/10分
    ②オーブン(スチームなし)

    に切り替えて230℃/15分

    ※途中で反転させて焼き色を均一にする。

    YouTubeで作り方を見る➡

『生地を作る』~完成まで3時間半が目安

材料を混ぜる~オートリーズ

1. ボウルに準強力粉、水、モルトシロップ(モルトパウダー)の3つを入れて、よく混ぜます。水は小麦粉に対して68%と初心者さんでも作れるように抑えています。

粉っぽさがなくなったら30分休ませて水和を進めます。(オートリーズと言います)

ミキシング後の生地

混ぜ終わってすぐの生地がこちら

この段階ではすぐにちぎれてしまいますが、
30分経過すると、下のようにグルテンがつながり伸びとツヤが出てきます。

これは生地を休めた結果、捏ねたのと同じ結果が得られたことになります(これをオートリーズと言います)

オートリーズ

ミキシング

このタイミングでイーストを加えたら、ボウルから台に移して3分こねます。
続いて塩を加えたら、更に3分こねてください。
塩を最後に入れることで生地がしまるのを遅らせ、ミキシング時間の短縮になります。
これを後塩法と呼びます。

最後に、叩きごねで生地がまとまったら捏ね上がりです。
ここまでくると指が透けて見えるくらい薄い膜が張ります。

グルテンがつながった生地

このレシピの捏ね上げ温度は24℃です。生地の温度がこれより温度が低いと発酵が遅く、高い時は早く進みます。

表面が張るように丸めたら容器に移して30分休ませます。容器に薄く油を塗っておくと生地がきれいに剥がれます。

捏ね上げ温度を測る

パンチを入れる

30分休ませたら生地と台に打粉を振り、取り出して写真のように大きく薄く広げて縦3つに折りたたみます。

続けて横に3つ折りにしたら、生地の角を下に巻き込んで丸めます。

この工程は、生地に新しい空気を取り込むことでイーストの力が強まり、パンをより膨らみやすくする効果があります。

パンチが終わった生地を発酵させます。
理想の発酵温度は28℃です。

丸めと成形のやり方

分割(6等分)~丸め

一次発酵が完了したら、生地を取り出し6等分して丸めます。
準強力粉で作る生地は、強力粉に比べてガスを溜めておく力が弱いので、
強くたたいてガスを抜き過ぎないように…かつ、締めすぎないように優しく丸めます。

丸め

丸めが終わったらベンチタイム20分取ります。
蓋のついた容器や強く絞ったふきんをかけて生地を乾燥から守ってください。

この間にキャンバスに粉を振っておきます。

こんな方にもおすすめ

お目当てのメニューだけを選んで参加したい。
レッスン料を一括で支払った後に、合わないと感じたことがある。
初心者でもついていけるか心配。

成形~丸め直し

成形は軽くガスを抜いてから、丸めと同じ要領で締めすぎないように丸め直します。

キャンバスに移したら最終発酵は28℃で30分、常温の場合は様子を見ながら…
発酵の進み具合を見ながらオーブンを「過熱水蒸気で最高温度設定300℃/10分」で予熱しましょう。

キャンバス地へ移す

焼成とクープ入れ

最終発酵中の生地を指先で軽く押してみて下さい。少し戻って跡が残ったままなら発酵完了のサインです。
生地をキャンバスから鉄板に移してお好みで粉をふり、真ん中にクープを一本入れます。

包丁ではきれいに入りません。
クープナイフがない方は、カミソリで代用してください。

クープ

【焼成】焼成温度は2段階に分かれます

①過熱水蒸気
最高温度設定300℃/10分

②オーブン(スチームなし)
に切り替えて230℃/15分
 
※途中で反転させて焼き色を均一にする。

プチフランス焼成

【よくある質問

質問
最高温度が250℃なんですが、美味しく焼くのは無理ですか?

答え
電気式・ガスに関わらず、実際の庫内温度が250℃あれば美味しく焼けます
僕が働いているベーカリでもフランスパンの焼成は、250℃(上段)220℃(下段)です。

家庭用のオーブンレンジで焼く時の注意点

発酵の進み具合を見ながらオーブンを「過熱水蒸気で最高温度設定300℃/10分」で予熱しましょう。

これは、オーブン内部の温度センサーの精度や熱の分散などの要因によるもので、
実際の温度はオーブン専用の温度計を使用して確認することが望ましいです。

カンパーニュ焼成

また、熱風の吹き出し口付近(奥側)と手前のドアに近い方では火の入り方が違うので反転して焼き色を調節しましょう。

総じて言えることは、美味しいパンを焼くためには、そのオーブンの癖と実温度を知っておくことが大切です。

焼き上がり

焼き上がりの目安は、パンの表面が濃いキツネ色になり、触った時にカリッとした音がする程度が目安です。

オーブンから出してすぐに、網の上などで十分に冷ましてから食べるようにしましょう。

プチフランス焼き上がり

レッスン風景を動画で見る➡

東京・JR田町駅 直結 徒歩5分

『アトリエキッチン』パン教室

場所港区立男女参画センター リーブラ

住所東京都港区芝浦1-16-1 みなとパーク芝浦 2F 料理室

アクセスJR田町駅 芝浦口直結 徒歩5分
都営地下鉄浅草線・三田線「三田駅」A6出口 徒歩6分

周辺案内を見る

プチフランス~美味しい食べ方

A. 焼きたてをすぐに

パンは焼きたてが一番!
焼き立てのパンは、クラストがカリッと香ばしく中はふんわり。

できるだけ焼き立てに近い状態で召し上がると、その美味しさを最大限に楽しむことができます。
バターやお好みのジャムやバターを塗るだけで、シンプルに小麦粉を味わう!

B. サンドウィッチにする

半分に切ってトーストし、ハム、チーズ、野菜など…お好みの具材を挟んで、自分だけのオリジナルを作ってみてください。

サンドウィッチ

C. パン粉として使う

完全に乾燥させてからミキサーで細かく砕いて、他の料理に再利用できます。
肉や魚にまぶして揚げると、香ばしさと食感がアップ!

市販のパン粉より、断然美味しくてビックリするほどです。
また、カロリーが気になる方にはグラタンやドリアのチーズ代わりに乗せて香ばしく焼く方法もあります。(色付きが早いので注意)

D.フレンチトーストにして

少し硬くなり始めたパンにおすすめ!
半分にカットして、卵と牛乳、砂糖を混ぜた液にパンを漬け込み、バターをたっぷりしいたフライパンで焼きます。

メープルシロップやバニラアイス、フルーツを添えると豪華な一品に仕上がります。

まとめ

今回のレシピいかがでしたか?
ストレート法のフランスパンは、時間をかけて作ったこだわりパンに、美味しさではかないません。
ですが、3時間半という「すき間時間」で作れるのが最大の魅力!

それでいて、焼き立てはどんなベーカリーにも劣らない美味しさがあります。

忙しい日の逃げアイテム、時短でパンを焼きたい時のレパートリーとして、ぜひ加えてください!

この教室だから学べること

『アトリエキッチン』パン教室は、YouTubeでチャンネル登録者15,000人を集め、
フランスと東京で豊富な経験を持つ講師が対面で直接指導!

フランスで伝統的な技術を学び、それを日本の食材や家庭環境に合わせてアレンジできる  
プロフェッショナルです。

したがって、この教室で教わる内容は、家庭でも無理なく実践できるものです。

【3つの特徴】
1. 定員6名までの少人数制:初心者から経験者まで~生徒一人ひとりのレベルや進度に合わせて基礎からしっかり指導!

2. 全ての工程を自分で行う実践的なスタイル:ミキシングから焼成までを直感的に体で覚え、
製パン講義では、パン作りを理論的に捉えることで失敗を防ぎます。

3.1レッスン完結【単発】を採用:リピート率が高く、10回以上連続で通っている生徒さんもいらっしゃいます。

これらが揃った教室で「実技・製パン講義・実食」の体験を通して~
同じ目的を持った仲間たちと一緒に、
『パン作りの楽しさを味わってみませんか?』

コメント

  1. Sachiko より:

    苦手意識の強いハードパンがとても身近に思えるレシピで有り難いです。ひとつ、質問ですが、よくハードパンは下火が大事!と言うことで、天板も予熱段階でいれて温め、その上に生地をスライドさせるというような事を聞きます。落としそうで怖いのですが、熱い天板に乗せることで釜伸びもすると聞きました。でも、こちらでは天板予熱(生地を置く)されていませんよね?他にも同じ方法で焼いている方をお見受けして事もあるのですが、天板予熱しない理由はありますか?

    • 一番の理由は『危険』だからです。

      僕の推奨するやり方では使用する2枚の鉄板の間隔は約6.5㎝ほどでスライドさせるやり方は現実的ではありません。

      パンを乗せる鉄板を予熱しなくとも、上の鉄板が果たす役割で十分クオリティーの高いフランスパンが焼けます。

      【上の鉄板が果たす3つの重要な役割】

      ①業務用デッキオーブンで焼成する時の上火250℃を疑似的に作り出す。
      ②スチームの吹き出しがオーブンレンジ左側中央にあるので、2枚の鉄板で空間を狭くして蒸気の拡散を防ぎ、パンに効率的にかかるようにする。
      ③ファンの一部が隠れることで、クラストの乾燥を軽減できる。

      オーブンレンジの使い方は、他にも優れた方法があると思います。
      お持ちのオーブンとご自身が作るパンに合った焼成方法を探してみて下さい。

      • 僕の推奨するやり方では鉄板を2枚使い、上の鉄板のみ予熱しています。

        その2枚の鉄板の間隔は、6.5㎝ほどで下の鉄板にスライドさせて着地する方法では火傷のリスクが高く、現実的ではありません。

        パンを乗せる鉄板を予熱しなくとも、上の鉄板が果たす役割で十分クオリティーの高いフランスパンが焼けます。
        相関関係は僕のフランスパン動画の数々を見て頂ければ、認められると思います。

        【上の鉄板が果たす3つの重要な役割】をさらに詳しく~

        ①業務用デッキオーブンで焼成する時の上火250℃を疑似的に作り出す。
        ②スチームの吹き出しがオーブンレンジ左側中央にあるので、2枚の鉄板で空間を狭くして蒸気の拡散を防ぎ、パンに効率的にかかるようにする。
        ③鉄板が送風ファンの一部を隠すことで、クラストの乾燥を軽減できる。

        オーブンレンジの使い方は、他にも優れた方法があると思います。
        お持ちのオーブンとご自身が作るパンに合った焼成方法を探してみて下さい。

        • 僕の推奨するやり方では鉄板を2枚使い、上の鉄板のみ予熱しています。

          その2枚の鉄板の間隔は、6.5㎝ほどで下の鉄板にスライドさせて着地する方法では火傷のリスクが高く、現実的ではありません。

          パンを乗せる鉄板を予熱しなくとも、上の鉄板が果たす役割で十分クオリティーの高いフランスパンが焼けます。
          相関関係は僕のフランスパン動画の数々を見て頂ければ、認められると思います。

          【上の鉄板が果たす3つの重要な役割】をさらに詳しく~

          ①業務用デッキオーブンで焼成する時の上火250℃を疑似的に作り出す。
          ②スチームの吹き出しがオーブンレンジ左側中央にあるので、2枚の鉄板で空間を狭くして蒸気の拡散を防ぎ、パンに効率的にかかるようにする。
          ③鉄板が送風ファンの一部を隠すことで、クラストの乾燥を軽減できる。

          スチームは、
          パン屋さんが使っているオーブンご存じですか?
          窯入れ直後3~5秒の間に蒸気が大量に噴霧されます。最初が大事なのです。
          家庭用オーブンレンジの『断続的にちょろちょろ』では量が足りません。

          オーブンレンジの使い方は、他にも優れた方法があると思います。
          お持ちのオーブンとご自身が作るパンに合った焼成方法を探してみて下さい。