オーバーナイトで作る『こねないパンドカンパーニュ』低温長時間発酵

オーバーナイト法で焼き上げたこねないプチ・カンパーニュ

こんにちは!ムッシュです。
今回は、プロの現場でも使われている「オーバーナイト法(低温長時間発酵)」を活用し、家庭用オーブンレンジで本格的な「プチ・カンパーニュ」を焼く方法をご紹介します。

家で美味しいハードパンを焼きたいけれど、「こねる技術に自信がない」「まとまった時間が取れない」と悩んでいる方におすすめ!

こねる作業を最小限に抑え、寝ている間の「時間」に生地を育ててもらうため、パン作り初心者の方にも非常におすすめの製法です。

この記事の著者

パン・ド・カンパーニュとは?

パン・ド・カンパーニュ(Pain de Campagne)は、フランス語で「田舎風パン」を意味します。

フランスでは伝統的に天然酵母を用いて作られ、芳醇な香りとほのかな酸味、外側(クラスト)はカリカリ、内側(クラム)はもちもち食感が特徴で、食事と一緒に楽しむシンプルなパンです。

今回はご家庭でより手軽に挑戦できるよう、インスタントドライイースト(低糖質用)を使用します。

今回の製法「オーバーナイト法(低温長時間発酵)」の魅力

  • 【結論】オーバーナイト法を使うと、少ない労力で奥深い風味のパンを作ることができます。
  • 【理由】 冷蔵庫の低温環境(約5℃)で長時間(12〜16時間)かけてゆっくりと発酵させることで、小麦本来の甘みや旨味が最大限に引き出されるためです。
  • 【具体例】 通常数時間で一気に仕上げるストレート法とは異なり、夜に生地を仕込んで冷蔵庫に入れ、翌朝や翌日の『自分のタイミングで』続きの作業(分割・成形・焼成)を行うことができます。
ポイント
何もしないのにパンが美味しくなる!「時間」を味方につけることで、作業スケジュールが柔軟になり、ベーカリーの味を家庭でも実現できます。

材料(テーブルロールサイズのプチ・カンパーニュ )6個分

プチカンパーニュの材料(準強力粉、全粒粉、ドライイーストなど)

風味を豊かにするため、2種類の粉をブレンドします。

材料名分量役割・補足
準強力粉250g強力粉と薄力粉の中間の強さを持つ粉。フランスパンなど加水率の高い生地(今回は約72%)に最適です。(リスドォル推奨)
全粒粉50g小麦をまるごと挽いた粉。ビタミン、ミネラル、食物繊維が豊富で、パンに香ばしい風味と深みを加えます。
6g味を引き締めるとともに、グルテン(生地の骨格)を強化し、発酵を安定させます。
ドライイースト1.5gパンを膨らませる酵母。低温でもじっくりと働いてくれます。
モルトシロップ1g麦芽エキス。酵母の働きを助け、パンの表面に美しい焼き色をつけるために使用します。
216g捏ね上げ温度24℃を目標に
調節する。

工程の流れとタイムスケジュール

全体の流れを把握しておきましょう。発酵待ちの時間が長いため、実作業はとても短いです。

  1. ミキシングオートリーズ(約40分)
  2. パンチ(30分おきに3回/計1時間半)
  3. 一次発酵(冷蔵庫で12〜16時間)
  4. 分割丸め(約10分)
  5. ベンチタイム復温(約40分〜1時間)
  6. 成形(約10分)
  7. 最終発酵(28℃で約30分)
  8. 焼成(約25分)

YouTubeで見る➡ ナレーションと字幕で分かりやすい!


オーバーナイト法:手順を詳細解説

手順①:生地の準備とミキシング(オートリーズ)

生地に弾力がなく引っ張るとすぐにちぎれてしまう状態

ボウルにすべての材料を入れ、粉っぽさがなくなるまで手やカードを使って混ぜ合わせます。この段階では生地に弾力がなく、引っ張るとすぐにちぎれてしまいますが全く問題ありません。

そのままラップをして 30分休ませます(オートリーズ)

  • オートリーズとは:粉と水を合わせて一定時間休ませることで、水和(水分が粉の芯まで浸透すること)を促す手法です。こねなくても自然とグルテンが繋がり、生地が滑らかになります。

手順②:パンチ(こねない代わりに生地を繋ぐ)

こねずにパンチでグルテンを繋ぎ、ツヤが出たカンパーニュ生地

30分休ませた後、生地に「パンチ」を行います。

  • パンチとは:生地を優しく折りたたむことで適度な刺激を与え、グルテンを強化し、新しい空気を取り込む作業です。これによりイーストの働きが活発になります。

【パンチのやり方】

  1. 手に軽く水をつけます(生地が手にくっつくのを防ぐため)。
  2. 生地の外側をつまんで軽く上に引っ張り、中央に向かって折りたたみます。
  3. ボウルを回しながら、四方から同じように折りたたみます。だんだんと生地が伸びなくなってきたら丸めて終了です。
  4. これを 30分おきに合計3回 行います。

パンチが2回終わる頃には指が透けるくらい薄い膜が張り、3回目のパンチが終わる頃には、生地の表面にツヤと強い粘りが出ていることが確認できるはずです。これで生地作りは完成です!

こねずにパンチでグルテンを繋ぎ、ツヤが出たカンパーニュ生地

手順③:オーバーナイト法(低温長時間発酵)

生地をタッパーなどの容器(内側に薄く油を塗っておくと後で綺麗に剥がれます)に入れ、蓋をして冷蔵庫へ入れます。

理想の温度は5℃。この状態で 12〜16時間 じっくりと発酵(熟成)させます。低温長時間発酵は発酵の見極めが非常に重要です。
生地の量や温度で変化するため、見た目や香りで発酵の進み具合を確認しましょう。

手順④:分割・丸め・復温

冷蔵庫での低温発酵を終え、丸めて復温させているパン生地

冷蔵庫から出したばかりの生地は冷たい(冷蔵庫内の温度に近い)状態です。

発酵前の室温に戻してから作業を始める方法もありますが、生地が冷たいままの方が作業しやすいため、今回は「生地が冷たいまま分割・丸めを行い、ベンチタイムを長くとって常温に近づける(復温させる)」 方法をとります。

  1. 発酵した生地を容器から優しく出し、6等分に分割します。
  2. 軽く丸めます。準強力粉の生地は強力粉と比べてガスを保持する力が弱いため、きつく締めすぎないのがポイントです。
  3. 乾燥を防ぐため、蓋つきの容器に入れるか、固く絞った濡れ布巾を被せます。
  4. 生地の中心温度が 18〜20℃ になるまで復温させます。(室温が高いほどこの時間は短い)

ポイント

  • 復温の理由:冷え切った生地の温度を室温に戻すことで、休んでいた酵母や乳酸菌の活性が回復し、発酵が再開されます。これによりパンの風味や食感が格段に向上します。

手順⑤:成形・最終発酵

成形を終えて最終発酵に入る前のパン生地

復温が完了したら成形に入ります。

ここでも丸めの時と同じ要領で、きつく締めすぎず、ガスを抜きすぎないように優しく表面を張らせて丸め直してください。

打ち粉を振ったキャンバスに丸め直した順に生地を並べ、理想は『28℃・湿度75%の環境で約30分』最終発酵を行います。季節や室温によって時間は前後するため、生地のふくらみ具合を見て適宜チェックしてください。

手順⑥:家庭用オーブンレンジを上手に使う焼成のコツ

焼成前のクープ入れ

いよいよオーブンで焼き上げます。カンパーニュなどの副材料が入らないリーンなパンを美味しく焼くには、高温とスチーム(水蒸気)が不可欠です。

【焼成のポイント:天板の役割】

家庭用オーブンレンジ(動画では日立製を使用)は、スチームの吹き出し口が側面にあり、庫内が広いためスチームが無駄に拡散してしまう傾向があります。

そこで、クープをしっかり割るために、上段に天板をセットしてパンを挟むように焼き、庫内を一時的に狭くすることで、スチームをパンにまんべんなく当てます。

【焼成手順】

  1. 最終発酵を終えた生地を鉄板に移し、お好みで粉を振ってから表面にクープ(切れ込み)を入れます。
  2. 加熱方式①(過熱水蒸気):300℃に予熱したオーブンで10分焼きます。
  3. 10分経過しスチームが不要になったら、上段の天板を外します。今度は熱風が庫内をムラなく循環するようにします。
  4. 加熱方式②(オーブン):230℃に温度を切り替えて、さらに15分焼きます。

※焼き上がりはオーブンの機種によって異なります。生地の表面が美しいキツネ色になり、底を叩いた時に「コンコン」と高い音が鳴れば完璧な焼き上がりです!

オーブンの使い方動画 ➡


焼き上がったプチ・カンパーニュの美味しい食べ方

スライスしたカンパーニュとチーズ、ワインの美味しい食べ方提案
  • 焼き立てをそのまま食べる:パンは焼き立てが一番!どんな有名ベーカリーの味にも勝る最高の贅沢です。
  • 厚めにスライスしてトースト:厚切りにするのがコツです。表面のカリカリ感と中の温かくしっとりした食感がよみがえります。バターやジャムと一緒に。
  • お好みの具材をはさんで:クセがないのでサンドイッチにも最適。ハム、チーズ、レタスはもちろん、パテ・ド・カンパーニュとコルニッション、キャロットラペを挟めば最高のご馳走になります。
  • ワイン&チーズと一緒に:カマンベールやブルーチーズ、ウォッシュタイプのチーズを添えて。お好みのワインと合わせて大人の時間を楽しんでください。

FAQ(よくある質問)

オトリーズとは何ですか?

粉と水を混ぜ合わせた後、一定時間休ませる製法のことです。休ませている間に水分が粉の芯まで浸透し、こねなくても自然とグルテンが形成され、生地が滑らかで扱いやすくなります。

モルトシロップがない場合はどうすればいいですか?

なしでもパンは焼けますが、モルトはイーストの栄養となり、美しい焼き色やパリッとしたクラスト(外皮)を作る助けになるため、ハードパンには必須です!
モルトパウダーも同じ役割ですが、添加量は異なります(要確認

クープが綺麗に開きません。上手に入れるコツは?

刃を入れる前に生地の表面をしっかり乾燥させる(または打ち粉を振る)ことと、ためらわずに「スッ」と素早く刃を引くのがコツです。
また、焼成時に十分なスチームと高温の熱が当たることで生地が一気に持ち上がり、綺麗なクープが開きます。

まとめ

美しいキツネ色に焼き上がり、底を叩いている完成したプチ・カンパーニュ

今回は、ご家庭でも本格的なハードパンを楽しめる「低温長時間発酵(オーバーナイト法)」を用いた、こねないプチ・カンパーニュの作り方をご紹介しました。

夜に生地を仕込んで翌朝や日中に焼き上げることができるため、忙しい方や、こねる手間をかけずに楽をして作りたい方にぴったりの製法です。

生地の温度管理やご家庭のオーブンのクセを掴むことで、パン作りはどんどん楽しく、美味しくなっていきます。ぜひ、この記事を参考に挑戦してみてくださいね!


コメント欄

  1. ヒムカ より:

    サワー種を使う場合
    どのような分量で置き換えればいいでしょう?